KOGANEZAWA SATOSHI
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2/6/2015

 
美術家・中村ケンゴさんの声がけのもと、1月31日(土)、レンタカーで静岡県掛川市へ。中村ケンゴさんが掛川市二の丸美術館で開催中の個展「モダン・ジャパニーズ・ジャパニーズ=スタイル・ペインティング1994-2014」を観覧。この不思議なタイトルの展覧会名は、「日本画」の概念を英訳し、さらにカタカナ表記にしたもの。和訳すると「近代の日本人による日本式絵画」ということになるでしょうか。展覧会は中村ケンゴさんの学生時代の作品から最新作までが一堂に会していてその変遷を知ることができます。「モダン・ジャパニーズ・ジャパニーズ=スタイル・ペインティング」という命名にもあらわれているように、近年の作品は美術史への言及性、批評性がより強まっているように感じてとても興味深く拝見しましたが、作品のテクスチャーにも引き込まれるものがあって、それがとても美しい。もっと言うと中村ケンゴさんの作品は、作品のテーマが私自身の関心事である日本の近代美術史に接続できるものなのでその点で非常に考えさせられる一方で、作品を見ながらそれについて考えていると、いつの間にか心中は作品自体の美しさに向いている。いつの間にか頭のスイッチが切り替わっていて体全体が作品に向かうような感触があって、それが気持ちいいのです。個展は2月15日(日)まで。

中村ケンゴ展「モダン・ジャパニーズ・ジャパニーズ=スタイル・ペインティング1994-2014」
http://www.nakamurakengo.com/ninomaru/

掛川市二の丸美術館のあとは、同じく掛川市のねむの木こども美術館・どんぐりへ。藤森照信建築が優しく来館者を迎えてくれる美術館で、中村ケンゴさんの作品とは違う種類の美しさがある子どもたちの作品が飾ってある。教会のような建築で、動線最後の空間は天井が高くなりさも祭壇のようでした。

ねむの木こども美術館
http://www.nemunoki.or.jp/kmuseum/

最後は、資生堂アートハウスへ。ここも掛川市ということで、それぞれ運営者は違うものの、掛川市は美術館が沢山あるのですね。開催中の展覧会は「工藝を我らに」という、「資生堂が提案する美しい生活のための展覧会」。出品作家は、14代今泉今右衛門(人間国宝、色鍋島)、内田鋼一(陶芸)、松島巌(コアガラス)、小椋範彦(漆芸)、小西寧子(同)の5名。今後この5名によって3年間開催されるという同展は、開催主旨のテキストがきわめて力強い主張に貫かれたとても素晴らしいものだったので、その後半部分を引用したいと思います。

本年から3年間に亘りアートハウスが主催する展覧会「工藝を我らに」は、美術品として高殿に置かれている工藝品を、私たちの生活に取り戻すための試みです。そして、資生堂が永い年月を通じ、人々の生活を豊かにするものと信じて続けてきた提案を、展覧会の場を通じて新たに発信するものです。内容は、本展の趣旨に賛同してくれた5名の工藝家による新作にアートハウスの収蔵品を取り混ぜながら、私たちの日々に寄り添い、喜びをもたらし、大切に受け継がれていくことのできる品々を展覧します。また、作品を展示するだけでなく生活の中での用い方や楽しみ方も併せて提案します。
このささやかな展覧会を、工藝の持つ力、そして、この不安で浮薄な時代に、真心を込めて制作された美しく確かな品々と生活を共にすることで得られる幸福を分かち合い、広く共有していく場にしたいと思います。


全文と展覧会詳細はこちらから
http://www.shiseidogroup.jp/art-house/exhibit/project.html

「美術品として高殿に置かれている工藝品を、私たちの生活に取り戻すための試みです」というところが、なんとも言えずカッコいいのです。展示されていた作品や、作品同士の組み合わせは、日常的に使うにはあまりに洗練されているように感じましたが、そういう美しく洗練されたものを日々見る、使う、その行為の蓄積のなかで「ものを見る眼」や「ものに相対するときの体の動き」がついてくるのでしょう。高殿に置かれているものを、いきなりこの日常生活には取り戻せない。取り戻すには取り戻す側の準備も必要で、それが私の場合3年間で足りることはないと思うのですが、これからの展覧会も拝見して、なにより自分を鍛えていきたいと思いました。今年の展覧会は3月29日まで。

近代と美を考える一日でした。
画像
「工藝を我らに」の看板、すっとした佇まいの美しいフォントは資生堂フォント

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