KOGANEZAWA SATOSHI
  • Home
  • C.V.
  • news
  • writing
  • talk
  • lecture
  • project
  • museum
  • university
  • video
  • blog
  • note
  • Contact

38

5/21/2018

 
2年ぶりの投稿になってしまいました。

​敬愛する画家・松岡亮さんの個展が明日から銀座ではじまります。文章を寄せました。

-----

松岡亮「あなたの空だ。人の空にするな。
」に寄せて

松岡亮は絵を描く。しかし描かれた絵は、あなたがイメージするそれとは少し違うかもしれない。
GINZA SIXの蔦屋書店で今回開催される個展で松岡が展示するのは、刺繍作品が中心である。それらは、厚手の布に、色とりどりの糸をミシンで即興的に縫うことによって制作されている。6メートルの天井高の空間の中央に、約80×60センチの刺繍を42枚繋ぎ合わせることで、5×4メートルのサイズとなった大作が本展のメイン作品である。さらにその作品を、B3サイズの刺繍を横に数十枚縫い合わせた作品が取り囲む。
「絵とは、紙やカンヴァスに、筆や絵具を用いて制作されるものだ」と考えるならば、これらは絵ではない。しかし、松岡にとって、技法・素材の違いによって、これは絵である・絵ではないと区別することが、そもそも意味をなさない。
彼は、絵具を用いて描く場合もあれば(ただし、筆は使わず指で描く)、今回のように刺繍をすることもあり(母が洋服を作る仕事をしており、工業用ミシンが幼少期から家にあったという)、さらには版画もするし、雪が積もった地面を大きな舞台に足を引きずって(!)絵らしきものを描いたりもする。手で収まる小さなものから、俯瞰しがたい大きなものまで。それらの違いによる優位の差はなく、そこにあらわれるのはいつも具体的な事物ではない。言うならばそれらは、松岡が幼い頃から日常的に手を動かすことで、そして日常の生活をおくる中で獲得された経験・美意識を土台にして、絶えず「今」と向き合うことで生まれた線であり、選ばれた色による、絵としか呼ぶことができないなにか、である。松岡自身はそれを「遊び」と呼び、そのルール無用の遊びは、奔放な自由さに貫かれている。だからいつも新しい。
ここに展示されるのは、そうしてひとりの画家の遊びの中で生まれた、尽きることを知らない絵のほんの一部だ。その美しさに触れ続けている人間の一人として、(未知の)あなたにこの文章を捧げ、未知の絵をともに見たい。
小金沢智(太田市美術館・図書館)


-----

「あなたの空だ。人の空にするな。」
Exhibition at TSUTAYA BOOKS / GINZA SIX / 蔦屋書店 / ギンザシックス
Ryo matsuoka / 松岡亮
Embroidery&Paint / 刺繍と描き
5月22日(火)--6月19日(火) / 10:00-22:30 無休
問い合わせ/03-3575-7755
https://store.tsite.jp/ginza/event/art

    koganezawa satoshi

    ・日々のこと
    ・「山形日記」(2020/4/28-)

    Archives

    August 2020
    July 2020
    June 2020
    May 2020
    April 2020
    March 2020
    September 2019
    July 2019
    June 2019
    May 2019
    April 2019
    October 2018
    August 2018
    July 2018
    June 2018
    May 2018
    August 2016
    December 2015
    November 2015
    August 2015
    July 2015
    June 2015
    February 2015
    January 2015
    December 2014
    November 2014
    October 2014
    September 2014
    August 2014

    Categories

    All

    RSS Feed