KOGANEZAWA SATOSHI
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19

11/27/2014

 
毎日は無理でも数日くらいおきに更新したいと思っていたブログもいつの間にか滞ってしまっていました。むむむむむ。

以下、いくつかのこと。

1
年中、日本各地で行きたいなと思う展覧会が沢山行われていて、遠方の場合は頭を悩ませているのですが、今月は関東以外で3箇所行くことができました(静岡、京都・兵庫、福島)。以下は(列挙するには数多い)ギャラリーをのぞいての美術館で拝見した展覧会です。

・静岡県立美術館「美少女の美術史」展
・京都国立博物館「国宝 鳥獣戯画と高山寺」展
・芦屋市立美術博物館「art trip vol.01窓の外、恋の旅。/風景と表現」展
・喜多方市美術館「セピロマの夢、「ピ」はピカソの「ピ」展

いずれもとても面白く、常設展もあるところは拝見して(京博のリニューアルすごいですね)、各感想をしっかり書きたいところなのですが、時間がなくかないません...。ともあれ、芦屋市立美術博物館の展覧会のみ、現時点でも開催中なので、ぜひお近くの方も遠方の方も、閉幕直前ですがおすすめさせてください。コレクションをどういう文脈や切り口で展示するのか、というのは、近年の美術館の大きな課題だと思いますが、コレクションに、招聘した現代作家の作品を加えて構成した同展は、とても楽しく、心あざやかな思いのする展覧会でした。素晴らしかったです。11月30日(日)まで開催されています。

芦屋市立美術博物館「art trip vol.01窓の外、恋の旅。/風景と表現」展
http://ashiya-museum.jp/exhibition_new

2
静岡と京都・兵庫は個人的に行ったものですが、福島県の喜多方は、呼んでいただいてうかがったものでした。妖怪や神仏など目に見えないものを絵画化されている作家の金子富之さんが、喜多方でのリサーチを重ね、その成果を展覧会で発表する「森のはこ舟アートプロジェクト」の一環で、12月23日(火)に対談をさせていただくことになっており、その事前リサーチで呼んでいただきました。

1泊2日でうかがって、金子富之さん、そしてプログラムのご担当の方とあちらこちらへ。はじめての喜多方は、喜多方ラーメンや馬刺しそして日本酒など食べ物と飲み物のたまらない記憶を残しつつ、連れて行っていただいた不思議な場所が、あそこは一体なんだったのだ!と今なお思わせます。金子さんとの対談では、作品に加え、そういうお話をさせていただくことになるのではと思いますので、クリスマス直前でそろそろ仕事納めかという時期ではありますが、ぜひお時間ある方は喜多方までお越しください。ただのトークだけではないプログラムを金子さんが考えてらっしゃるので、とても面白くなるのではないかと思います。詳細は、webに後日アップされるかと思いますので、チェックしてみてください。

森のはこ舟アートプロジェクト
http://www.morinohakobune.jp

3
最近行ったところはそんなところで、日常生活では、先日もお知らせしました中村ケンゴさん編著『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』(アートダイバー)に書かせていただく原稿のため、20世紀末に開催された、主に日本の同時代をテーマにした展覧会図録や書籍を買い集めていました。

もちろんすべてを網羅するのは不可能なのですが、これは押さえなければならないのではないか...というものを集め、それらから導かれる「20世紀末・日本の美術の形成のされ方」についての考えを整理しながら、原稿にまとめています。『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』は、そのタイトルどおり、「それぞれの作家の視点から」語られる「20世紀末・日本の美術」です。ただそれらは主に1970年前後に生まれた方々による話なので、1982年生まれの私は直接体験していません。ですから、それらのお話はとても刺激的で勉強になるのですが、そのまま受け取ってしまってはいけないのではないか?、自分でもしっかり当時の状況を知ろうとしなければならないのでは意味がないのではないか? と思い、そうしてまとめられたものが「なかがき」として掲載される予定です。

詳しくは近刊予定の本で...と思いますが、調べていて思ったのは、20世紀末というたかだか20年くらい前のことでも調べるのは大変で、図録が顕著ですが書籍はものによっては結構なプレミアがついている、ないしは市場に出回ってすらいないものがちらほらあります(そして、美術関係の図録は専門図書館でないと中々所蔵していません)。しかし、一番怖いなと思った、それに気づけてよかったなと思ったのは、「たかだか20年前くらいのことだからと思い、なんとなくわかったような気になっている自分」にほかなりませんでした。私は、この原稿を書きながら、どれだけこの「なんとなくわかったような気になっている自分」を消したいと思ったか。それが、「過去」への認識を偏らせ、「未来」への展望を誤らせる。すなわち「今」が不安定になる(にもかかわらず、それに気づいていない!)。調べないといけないものが多々あり、本当にこればかりはきりがないですが、それでも、このことに気づいたことの収穫は、とても大きく、心底よかったと思います。
本は、税別1,800円で、現在ご予約受付中です。

【予約】『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』中村ケンゴ編著
http://artdiver.moo.jp/?p=767

ということで、現在のいろいろなところへ行きつつ、図録や本によって時空を超えながら、日々を過ごしています。

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11/9/2014

 
画家の諏訪敦さんから、今春、香港のKwai Fung Hin Art Galleryで開催した個展「Sleepers」(2014年5月21日〜7月5日)のカタログ『諏訪敦 Sleepers』(季豐美術出版社、2014年5月)をいただきました。「眠り」をテーマにした作品群による個展で、諏訪さんが1995年からはじめたモデル志願者の寝姿を描いたシリーズ「Sleepers」を中心にしつつ、「父性」と題して父親のデスマスクを描いた作品や眠る我が子を描いた作品群、舞踏家・大野一雄とその息子・大野慶人をモデルにした作品群、さらには、2012年8月20日シリアの内戦で射殺されたジャーナリストの山本美香をモデルにした肖像画など、その構成からは「眠り」というものを「生者」だけではなく「死者」の視点からも捉えようとする画家の思考が見てとれます。また、人間の「肉体」への強い関心も一貫して感受できるものでしょう。

約20点の作品が展示され、これだけの規模で諏訪さんの作品が展示されるのは2011年の諏訪市美術館(長野県)個展以来ですが、香港での個展開催は、諏訪さんのHPにもあるとおり、「美術評論家・故・鷹見明彦(1955~2011)氏の仲立ちで2009年には既に企画され、数年の準備期間を経て実現の運びとなった」もの。『どうせなにもみえない』(求龍堂、2011年7月)に続いて、今回もカタログに、総論「死者はいつ眠るか―諏訪敦個展 Sleepers に寄せて」(18-24頁)、作品解説「山本美香」(100-103頁)という2本の文章を書かせていただいたのですが、このような経緯もうかがっていたので、これまでとは異なる意味合いの責任感を感じるものでした。にもかかわらず現地に足を運べなかったことが、本当に悔やまれます。日本で流通させる予定はないとのことなので、表紙と基本情報だけここに記載しておきます。

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タイトル:『諏訪敦 Sleepers』
言語:中国語、英語、日本語のトリリンガル ※日本語は小金沢智によるテキストのみ
サイズ:287×220mm
頁数:128頁
出版:季豐美術出版社
刊行年月:2014年5月
刊行部数:1,300部

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それから、せっかくなので諏訪さん関連の情報をもうひとつ。小谷忠典監督によって、諏訪さんが肖像画を描く過程を追った、非常に美しく静謐な短編映画がスイスで上映されます。今月末、スイスに行かれる方はぜひ。

「諏訪敦がある依頼により、肖像画を描く過程を抽出した短編映画『flow』(小谷忠典監督作品)がイタリアの映画祭「Ozu Film Festival」に続き、スイスでの映画祭「Culture scapes TOKIO 2014」上映決定」
https://twitter.com/suwakeitai/status/531104829859315712/photo/1


◎映画祭名
Culture scapes TOKIO 2014


◎プログラム名
NEW SHORT FILMS FROM JAPAN

◎開催期間
11月27日、28日
※「flow」は11月27日21時半~、28日21時半~の2回上映

◎開催場所
スイス、バーゼル

◎URL

http://www.culturescapes.ch/kalender_2014?view=date&display=week&date=1409522400&place=&place_sub=&cat=&cat_sub=&offset=0&order=startdate&month=&sort=ASC&search=&open=5278
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11/8/2014

 
1週間ほど経ちますが、群馬県立近代美術館へ行ってきました。8月に実家に帰省した際に「1974 第1部 1974年に生まれて」を見たので、その第2部「1974 第2部 1974年-戦後日本美術の転換点」を(11/3に終了)。これらの企画は、いずれも群馬県立近代美術館が開館した1974年をキーワードにして、1974年に生まれた6名の作家(小林耕平、末永史尚、土屋貴哉、春木麻衣子、水野暁、宮永愛子)のグループ展を第1部で、そして1974年を「戦後日本美術の転換点」と見なして同年に制作された作品を中心にしたグループ展を第2部で開催するものでした。ある時代をどのように語るのか(歴史化するのか)、どのように語られるのか(歴史化されるのか)、どのように語ることができるのか(歴史化することができるのか)、ということが最近の大きな関心なので、その方法論がとても勉強になる展覧会でした。群馬県立美術館開館40周年記念展です。

とりわけ興味深かったのは、実は作品以上に第2部の冒頭で紹介されていた群馬県立近代美術館自体の成立ちで、同館が建つ「群馬の森」と名づけられた一帯は、1905年日本で初めてダイナマイト製造を行った陸軍の火薬製造所があったということ。群馬県出身にも関わらずまったく知らなかったのですが、そういうこともあって、群馬の森敷地内には、「我が国 ダイナマイト発祥の地」と彫られた石碑が建っています。
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1968年、建設省が「明治百年記念事業」として全国に森林公園を設置することを決め、群馬県はこの決定を受け、「旧東京第二陸軍造兵廠岩鼻製造所」跡地に「群馬の森」を建設することにしたとのこと。群馬県立近代美術館は、こういった過程を経て同地に建てられたもので、つまり「文化」の発信地としての美術館建設の影には、「明治維新」と「アジア・太平洋戦争敗戦」という日本の近代史が避けて通れない大きな「転換点」があったということです。

石碑は「群馬の森」の地図に載っておらず探しにくかったのですが、美術館から歩いて南へ直線距離100〜200mくらいでしょうか。芝生を抜けたところに、ひっそりと建っています。美術館に行かれる方は、ぜひこんなところにもご注目を。

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