KOGANEZAWA SATOSHI
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12/31/2015

 
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あっという間に年末です。過ぎてみて、いろいろあったなぁ…と思うので、箇条書きにして振り返ってみます。

(1)世田谷美術館を退職しました
最大5年間の非常勤職員だったため、2015年3月の契約終了で退職しました。学芸員とは、ということをいろいろここで勉強させていただきました。主に担当を受け持った分館 宮本三郎記念美術館では、ずいぶん自由に企画をさせていただいたなと思います。一人の画家のことを考えた、学芸員として一人の画家を担当するとはどういうことか? と考えた5年間でした。

(2)展覧会を企画しました
美学校のギグメンタ2015の企画の一つとして、「日本画のハードコア」という展覧会を企画しました。出品作家は、岩田壮平さん、蝦原由紀(加藤由紀)さん、大浦雅臣さん、田中武さん、中村ケンゴさん、間島秀徳さんの6名。素晴らしい作家の作品を展示すると同時に、私が学生時代からずっと気になっている「日本画」という問題圏での、「これが日本画だ」(針生一郎)という私のなかでのひとつのアンサーを示す展覧会でした。ただし、対談で梅津庸一さんにも厳しく指摘されたように、それが結局「日本画」のなかでしか通用しない言葉で述べられているという弱さがありました。改めて言葉を練り直し、リサーチを重ね、各作家や日本画についてのまとまった文章を書きたいと思います。

(3)母校での非常勤をはじめました
私の母校である明治学院大学文学部芸術学科の、学芸員資格取得に関わる授業を今年受け持ちました。世田谷の仕事が終わったタイミングだったので、現在学芸員ではない人間が博物館学を教えるなんて学生に申し訳ない…と自嘲気味に思ったものですが、春の「博物館概論」、秋の「生涯学習概論」と、自らの体験や時事的なことを取り込みながら、学生たち18人に自分の伝えたいことが言えたかな…と思います。年明けあと2回で、今年度は終了。秋学期はグループワークも行い、それで学生たちの仲がよくなったように思えるのが私としてはとても嬉しいです。仲間たちと、芸術や美術館についてああだこうだと議論して欲しい。

(4)美学校で講師をはじめました
美学校で2012年度から開講している間島秀徳さんの超・日本画ゼミで講師をはじめました。間島さんが今年度から信州大学で教鞭をとられており、サポートとして入っています。明学の学生たちとは異なり、受講生は10代から50代の方までさまざま。美学校は入学試験もありませんから、なにを自分が伝えられることの基準としていいか最初はわからないまま、しかし途中で、今自分が大事だと思うことを伝えるだけと気づきました。

(5)新しい仕事がはじまりました
群馬県の某市に新たに新設される美術館の開館準備の仕事に従事することが、夏に決まりました。美術館にとって非常に厳しいこの時代、新設とは…と最初お話を聞いたときとても驚きました。悩みもしましたが、大学で「学芸員とは」、「美術館とは」と講義をしながら、新しい場所へ飛び込めないのもどうなんだと自分を振り返り、飛び込んで、今に至っています。来秋のオープンを目指し、鋭意準備中ですので、ぜひ期待していただきたいと思います。

(6)引っ越しました
群馬県某市での仕事が決まったため、それまでの神奈川県川崎市から埼玉県久喜市へ、10月に引っ越しました。東京と群馬の中間地点のようなこの場所の新居は、旧居よりも駅が近く、家賃が安く、広く、設備もいい(ウオシュレット! 追い焚き!etc.)、という素晴らしい環境です。住む場所が変わると生活の仕方(主に展覧会の見方)も変わるというもので、群馬だけではなく埼玉や栃木の美術館へ行く機会が増えました。北関東群馬県出身者としては、とてもよい傾向です。ちなみに家から一番近い美術館は、小山市立車屋美術館。近くにも親しい作家の方々が住んでいて、嬉しいです。

(7)フランスへ行きました
美術を仕事にしながらも、滅多に海外に行けない私ですが、今年はありがたいことにフランスへ行く機会がありました。実に4年半ぶりの海外! このブログでも書いたように、フラワーアーティストの東信さんの仕事を見るためです。ただ、帰国前日にテロが起こり、騒然としました。今年は、戦後70年ということもあり日本各地でも戦争と美術をめぐる展覧会がありました。私もできるだけ見に行きましたが(名古屋市美、国際マンガミュージアム、三重県美、東近美、大川美、栃木県美etc.)、それらから学んだことを今生きることにどう還元することができるのか? というのは大きな課題だと感じています。課題というか、それしかないのだとも思います。その意味で、東京都美術館で開催された、現代の作家たちによる「戦争画STUDIES」は励まされました。美術が、どのようなかたちであれ、私たちが切実に今生きることとともにあって欲しいと、思います。

以上、大きくは7つのトピックでしょうか。ほか、思いがけない執筆のご依頼をいただいたり、ありがたいなぁと思いましたが、それらは来年の年明けに出るものなので、そのときお知らせをしたいと思います。

そうそう、自分としては年末年始の風物詩になっているのが、前野健太さんのライブです。昨日はシネカフェ・ソトでのソロライブ「暮れゆく街の歌が聴こえる」(*写真は会場の階段の壁)、2014年12月は大森靖子さんとのツーマンライブ、2013年元旦はソロライブ「前野健太 元日108曲ライブ~オレとオマエの孤独なぼんのう~」と、私が前野さんのライブへ行くのはいつも冬ばかりで、私の中で前野さんの歌はとりわけ年末年始に聴きたい歌になっています(そして今もドキュメンタリー映画「ライブテープ」(松江哲明監督、2009年)をリピートしながらこれを書いています)。

前野さんの新作はCDブック「今の時代がいちばんいいよ」。すごいタイトルで(なかなかこうは言えない)、実際の歌も素晴らしく、前野さんは詩人だなぁと思います。歌には声がともなっているわけですが、詩の力が本当に強い。私にとってその言葉は、皮膚感覚的にこの体を貫くというか、寄り添うというか、とにかく、近しい。私は音楽の研究者でも文学の研究者でもありませんが、いつか前野さんの仕事について論じたものを書いてみたいです。それは自分が生きることとつながっている。

最後に、前野さんのこの言葉を引用させていただいて、来年を迎えたいと思います。

今の時代がいちばんいいよ
あたらしい街でもいいよ
(前野健太「今の時代がいちばんいいよ」)


みなさま、よいお年をお迎えください。

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