すべての展覧会を見ることはできないものの、自分の研究上大事なはずの展覧会を見ることができなかったときの悔しさは、結構引きずるものです。
私のとって最近のそれが、新潟市美術館で開催された「金子孝信展 1930年代、青春、東京、日本画、戦争。」(2014年6月21日〜7月27日)でした。
金子孝信展 1930年代、青春、東京、日本画、戦争。
http://www.ncam.jp/exhibition/1991/
現在住んでいる関東はもちろんですが、東海、近畿地方の美術館で開催されている展覧会は、なるべくチェックして、自分の関心に近いものは遠くてもできるだけ見に行くようにしているのですが、北陸はほとんどチェックしておらず、展覧会の存在を知ったときには終わっていました。行けたかどうかはわからないものの、存在を知っていれば、図録くらい手に入れることができたかもしれないと思うと、本当に残念です(既に完売)。
さて、金子孝信は、1915年9月、新潟市に生まれ、東京美術学校で日本画を学んだ画家で、1942年5月、26歳で戦死しています。ホームページによると展覧会は、「金子孝信という画家を、昭和戦前期日本画のモダニズム動向の中に、改めて位置付けたい」という意図から開催されたもの。戦死したという事実が、「戦争がなければあったかもしれないのその先の活動や作品」を考えさせて、センチメントな感情を呼び起こしつつ、戦争と美術の問題を考えさせますが、その短い画歴の中で描かれた作品が、非常に清潔なたたずまいをしていて、だから、見ることができなかったことが悔やまれます。
図録は完売につき手に入れることができないのですが、新潟市美術館のミュージアムショップ「ルルル」では、金子孝信の絵日記『ある戦没画家の青春 金子孝信絵日記』(1994年、金子孝信の絵日記刊行会)がまだ販売されていたので、私はこれを手にいれました。この作家について知りたいと思い、関連書籍を探していたとき、古書でこの本が高額で販売されているのを見かけていたのですが、「ルルル」では定価5,724円(+送料1,000円)の販売! やったーと思いながらカートに入れた本です。
ある戦没画家の青春 金子孝信絵日記
http://lululu.thebase.in/items/622824
金子孝信の1934年から1937年までの絵日記4冊を復刻したもの(2巻〜5巻)に、そのすべてを翻字したもの(1巻)が加えられ、全5巻。1巻には、美術評論家の大倉宏氏によるテキスト「金子孝信 絵日記と「季節の客」」、そして山浦健夫氏による解題、金子孝信の系譜、年譜が収録されていて、基礎資料としてとても充実した内容になっています。肝心の絵日記はまだしっかり読めていないのですが、ペラペラとめくってみると、絵と文から1930年代の東京とその中で生きるひとりの人間、画家の姿がふっと立ち上がる、そんな心地がします。
若くして戦場で亡くなった画家といえば、8月に茅野市美術館で見た矢﨑博信(1914-1944)もそうですが、だからといって彼らを「戦没画家」というタグで一緒くたにしては必ずしもいけなくて、当たり前ですがそれぞれ違う生き方があり、思想があり、作品があり、だからこうしてその作家がなしたこと/なそうとしたことを、丁寧に作られた本や展覧会で知ることができるというのは、ありがたいことだと思います。
「ルルル」での販売、残りわずかとのことなので、求められる方はお早めに。
私のとって最近のそれが、新潟市美術館で開催された「金子孝信展 1930年代、青春、東京、日本画、戦争。」(2014年6月21日〜7月27日)でした。
金子孝信展 1930年代、青春、東京、日本画、戦争。
http://www.ncam.jp/exhibition/1991/
現在住んでいる関東はもちろんですが、東海、近畿地方の美術館で開催されている展覧会は、なるべくチェックして、自分の関心に近いものは遠くてもできるだけ見に行くようにしているのですが、北陸はほとんどチェックしておらず、展覧会の存在を知ったときには終わっていました。行けたかどうかはわからないものの、存在を知っていれば、図録くらい手に入れることができたかもしれないと思うと、本当に残念です(既に完売)。
さて、金子孝信は、1915年9月、新潟市に生まれ、東京美術学校で日本画を学んだ画家で、1942年5月、26歳で戦死しています。ホームページによると展覧会は、「金子孝信という画家を、昭和戦前期日本画のモダニズム動向の中に、改めて位置付けたい」という意図から開催されたもの。戦死したという事実が、「戦争がなければあったかもしれないのその先の活動や作品」を考えさせて、センチメントな感情を呼び起こしつつ、戦争と美術の問題を考えさせますが、その短い画歴の中で描かれた作品が、非常に清潔なたたずまいをしていて、だから、見ることができなかったことが悔やまれます。
図録は完売につき手に入れることができないのですが、新潟市美術館のミュージアムショップ「ルルル」では、金子孝信の絵日記『ある戦没画家の青春 金子孝信絵日記』(1994年、金子孝信の絵日記刊行会)がまだ販売されていたので、私はこれを手にいれました。この作家について知りたいと思い、関連書籍を探していたとき、古書でこの本が高額で販売されているのを見かけていたのですが、「ルルル」では定価5,724円(+送料1,000円)の販売! やったーと思いながらカートに入れた本です。
ある戦没画家の青春 金子孝信絵日記
http://lululu.thebase.in/items/622824
金子孝信の1934年から1937年までの絵日記4冊を復刻したもの(2巻〜5巻)に、そのすべてを翻字したもの(1巻)が加えられ、全5巻。1巻には、美術評論家の大倉宏氏によるテキスト「金子孝信 絵日記と「季節の客」」、そして山浦健夫氏による解題、金子孝信の系譜、年譜が収録されていて、基礎資料としてとても充実した内容になっています。肝心の絵日記はまだしっかり読めていないのですが、ペラペラとめくってみると、絵と文から1930年代の東京とその中で生きるひとりの人間、画家の姿がふっと立ち上がる、そんな心地がします。
若くして戦場で亡くなった画家といえば、8月に茅野市美術館で見た矢﨑博信(1914-1944)もそうですが、だからといって彼らを「戦没画家」というタグで一緒くたにしては必ずしもいけなくて、当たり前ですがそれぞれ違う生き方があり、思想があり、作品があり、だからこうしてその作家がなしたこと/なそうとしたことを、丁寧に作られた本や展覧会で知ることができるというのは、ありがたいことだと思います。
「ルルル」での販売、残りわずかとのことなので、求められる方はお早めに。