先週は遅い夏期休暇をとり、東北芸術工科大学主催の「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2014」(山形県山形市)と、リアス・アーク美術館の「震災と表現 BOX ART 共有するためのメタファー」展(宮城県気仙沼市)へ行ってきました。いずれも震災と非常に強く結びついた企画です(必ずしも直接的にそれが作品にあらわれているわけではないにせよ)。そして後者については、東京に帰ってきてから、美術批評家の土屋誠一さんが呼びかけてSNOW Contemporaryで開催された「反戦 来るべき戦争に抗うために」展も見たことから、震災、戦争という「強大なもの」への対峙の仕方について多く考えさせられました。
「震災と表現 BOX ART 共有するためのメタファー」は美術館からの依頼によって作家が震災をメタファーで表現するというもの、「反戦 来るべき戦争に抗うために」展は土屋誠一さんが呼びかけてのアンデパンダン形式で必ずしも「反戦」をテーマにした作品を求めるものではないというもの。震災(原発事故含む)/戦争という「強大なもの」に対峙しているという点、そして参加者人数の点(いずれも40名〜50名程度)で近しいものがあるにせよ、一方で、依頼/アンデパンダンという違い、過去起こった震災/(近)未来起こりえるかもしれない戦争に対する反戦という違いから、展覧会の実際の内容は変わってくるものだなと感じました。前者はBOX ARTという形式が決まっており、後者は作品サイズ以外の形式は問われていないというところにも、もちろん展示の見え方の大きな違いがあります。あるいは、当事者性の問題もあるでしょうか。そもそもこのふたつを比較して見るということが正しいのかどうか、もう少しじっくり考えたいと思いますが、近い時期に見たものについてこうして考えをめぐらせることは大事なことだと思っています。反戦展を見た方は、リアス・アーク美術館のこの展示も見に行かれるとよいのではないでしょうか。
「震災と表現 BOX ART 共有するためのメタファー」(リアス・アーク美術館) 11/3まで
http://www.riasark.com/modules/news/article.php?storyid=139
残念ながら私は行けませんが、10月19日(日)には、「震災と表現 美術の社会的役割について」というシンポジウムがあります。パネリストに五十嵐太郎氏、椹木野衣氏、槻橋修氏、ファシリテーターにリアス・アーク美術館学芸員の山内宏泰氏。美術と社会という大きなテーマを、震災を通して考えるということなのでしょう。
話は変わりますが、複数の展覧会を見て比較・検証するという点で、第8回日本画(仮)部の活動で見た、東京国立近代美術館の「菱田春草展」と成城さくらさくギャラリーの「大浦雅臣 絵画展〈楽園〉」は、いずれも日本画における絵画空間の問題を追及しているという意味で、時代は違うにせよ、比較することによって新たな視点を得ることができるものででした。このふたつは、今であればどちらも開催中ですので、あわせて見るとよいのではないかと思います。
「菱田春草展」(東京国立近代美術館) 11/3まで
http://www.momat.go.jp/Honkan/hishida_shunso_2014/index.html
「大浦雅臣 絵画展〈楽園〉」(成城さくらさくギャラリー) 10/5まで
http://www.sakurasaku-g.com/gallery/index.html
さて、9月が今日で終わり。現在の職場もあと半年です。
「震災と表現 BOX ART 共有するためのメタファー」は美術館からの依頼によって作家が震災をメタファーで表現するというもの、「反戦 来るべき戦争に抗うために」展は土屋誠一さんが呼びかけてのアンデパンダン形式で必ずしも「反戦」をテーマにした作品を求めるものではないというもの。震災(原発事故含む)/戦争という「強大なもの」に対峙しているという点、そして参加者人数の点(いずれも40名〜50名程度)で近しいものがあるにせよ、一方で、依頼/アンデパンダンという違い、過去起こった震災/(近)未来起こりえるかもしれない戦争に対する反戦という違いから、展覧会の実際の内容は変わってくるものだなと感じました。前者はBOX ARTという形式が決まっており、後者は作品サイズ以外の形式は問われていないというところにも、もちろん展示の見え方の大きな違いがあります。あるいは、当事者性の問題もあるでしょうか。そもそもこのふたつを比較して見るということが正しいのかどうか、もう少しじっくり考えたいと思いますが、近い時期に見たものについてこうして考えをめぐらせることは大事なことだと思っています。反戦展を見た方は、リアス・アーク美術館のこの展示も見に行かれるとよいのではないでしょうか。
「震災と表現 BOX ART 共有するためのメタファー」(リアス・アーク美術館) 11/3まで
http://www.riasark.com/modules/news/article.php?storyid=139
残念ながら私は行けませんが、10月19日(日)には、「震災と表現 美術の社会的役割について」というシンポジウムがあります。パネリストに五十嵐太郎氏、椹木野衣氏、槻橋修氏、ファシリテーターにリアス・アーク美術館学芸員の山内宏泰氏。美術と社会という大きなテーマを、震災を通して考えるということなのでしょう。
話は変わりますが、複数の展覧会を見て比較・検証するという点で、第8回日本画(仮)部の活動で見た、東京国立近代美術館の「菱田春草展」と成城さくらさくギャラリーの「大浦雅臣 絵画展〈楽園〉」は、いずれも日本画における絵画空間の問題を追及しているという意味で、時代は違うにせよ、比較することによって新たな視点を得ることができるものででした。このふたつは、今であればどちらも開催中ですので、あわせて見るとよいのではないかと思います。
「菱田春草展」(東京国立近代美術館) 11/3まで
http://www.momat.go.jp/Honkan/hishida_shunso_2014/index.html
「大浦雅臣 絵画展〈楽園〉」(成城さくらさくギャラリー) 10/5まで
http://www.sakurasaku-g.com/gallery/index.html
さて、9月が今日で終わり。現在の職場もあと半年です。